【トヨタ自動車・企業研究】自動車業界の100年に1度の転換期にどう立ち向かうか

就職活動・トヨタ自動車

自動車業界の100年に1度の転換期と言われ、日本もとより世界でも確固たる地位を確立した「トヨタ自動車」も安心してはいられない。世界的なEV自動車や自動運転技術の研究競争の中で、トヨタ自動車はどうやって今後成長をしていくのだろか。

今回は「トヨタ自動車」の企業研究を行っていきたいと思います。2018年3月期の決算報告をもとに作成しました。

トヨタ自動車とは

トヨタ自動車は1937年に設立され、約80年の歴史を持つ会社です。事業内容は主に自動車の製造の開発と販売です。日本を代表するグローバル企業として、世界各国に関連会社を通じて自動車を販売しており、トヨタブランドはあまりにも有名です。


営業状況を見ると2018年3月期(連結ベース)では

・総売上高 29.3兆円
・営業利益 2.4兆円
当期純利益 2.5兆円

であり、日本屈指の企業です。

自動車業界の市場規模が68.2兆円程度であることから、トヨタ自動車の売上だけで自動車業界の市場規模の約40%を占めることがわかります。

トヨタ自動車の事業内容

トヨタ自動車の事業は主に3つのセグメントに分けられています。

  • 自動車
  • 金融
  • その他

それぞれについて説明していきます。

事業 売上高(兆円) 営業利益(兆円)
自動車 26.4 2
金融 2 0.3
その他 1.6 0.1

自動車事業が圧倒的すぎて金融とその他のセグメントが良くないように見えますが、どちらも一般的な企業の事業としたら主軸の事業としてやっていくことができます。

自動車

普通自動車、スポーツカー、トラック等の自動車とその関連部品・用品の設計、製造および販売を行っています。 自動車事業は売上高は26.4兆円で営業利益は2兆円程度となっており、トヨタ自動車の主軸事業であることがわかります。

例えば以下の車種を製造し販売しています。

この他にもたくさんの車を製造販売してます。
この自動車を世界中で販売しており、世界各国での自動車販売台数は年間で896万台となります。
地域別の販売台数は

地域 2018年(万台) 割合(%)
合計 896 100
日本 223 25.8
北米 280 31.3
欧州 97 10.8
アジア 154 17.1
その他 140 15.6

となっています。ただし、その他は中南米オセアニア、アフリカなどが含まれます。トヨタ自動車にとって、北米やアジアという地域は重要な市場であることは言えます。

金融

トヨタ自動車の金融事業は自動車販売に関連する金融や、クレジットカード、住宅ローンなどの金融サービスを提供しています。あまり馴染みがありませんが、売上高は2兆円で営業利益は3000億円程度となっています。

その他

トヨタ自動車のその他と分類された事業は住宅の設計、製造および販売、情報通信事業等を行っています。具体的には、トヨタホーム㈱、ミサワホーム㈱、ならびにその関係会社が住宅を製造、販売を行っています。売上高は1.6兆円で営業利益は1000億円程度となっています。

トヨタ自動車の業績状況

トヨタ自動車が自社の取り巻く環境と業績状況について、2018年3月期決算短信にはこのように書かれています。

連結会計年度の経済状況を概観しますと、世界経済については、貿易・生産の世界的拡大と底堅い内需を背景に緩やかな回復が続きました。日本経済については、雇用・所得環境が改善し、緩やかな回復基調が続きました。
自動車業界においては、市場は先進国で安定的に推移し、中国で拡大した一方、一部の資源国で落ち込みがみられました。また、温室効果ガス削減に向け、各国・各地域で規制強化や一定割合の電動車販売を義務化するといった新たな規制導入の動きがみられました。

まとめると、

  • 世界経済、国内経済は緩やかに回復
  • 自動車事業では、先進国の市場は安定、中国では拡大、一部の国では落ち込み
  • 温室効果ガス規制や電動自動車に関する規制導入

トヨタ自動車が認識している自社の取り巻く環境と業績状況です。

トヨタ自動車の課題

市場が安定的に回復している一方で、自動車業界の100年に1度の転換期に差し掛かっている現在で、トヨタ自動車が今後対処していくべきと認識している課題は

  • 電動化
  • 自動運転
  • MaaS (モビリティ・アズ・ア・サービス)
  • アライアンス
  • 仕事の進め方改革

です。

電動化

環境問題への取り組みとして重要なのが電動化です。そのためにトヨタ自動車は様々なニーズに対応して普及できる車作りをしているようです。

自動運転

自動運転技術は世界各国で開発競争が行われています。自動車を作る企業だけでなく、異業種からの参入も相次いでいます。トヨタ自動車は素晴らしい自動車開発力を持っている一方で、自動運転技術は各国に少し遅れをとっています。

MaaS (モビリティ・アズ・ア・サービス)

MaaSはMobility as a Serviceの略で、ICTを用いてモビリティ(移動)を 1 つのサービスとして考え、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念ことである。
http://www.mlit.go.jp/pri/kikanshi/pdf/2018/69_1.pdf
トヨタ自動車はMaaS専用次世代電気自動車(EV)を“e-Palette Concept”として発表しました。


オープニング映像
newsroom.toyota.co.jp

アライアンス

アライアンスは同盟や縁組という意味で、異なる立場の企業同士が協力体制を取ることを言います。なのでトヨタ自動車は様々な企業と協力して自動車業界の100年に1度の転換期を乗り越えたいと考えているようです。

仕事の進め方改革

「高コスト体質」という課題が顕在化しているため、生産性を向上させるようとしています。2018年3月期の社長あいさつでは以下のようにその対策として実行しているようです。

あらゆる職場で、「固定費の抜本的な見直し」を掲げ、日々の業務から、大きなイベント、プロジェクトに至るまで、一つひとつの費用を精査し、自分たちの行動の「何がムダか」を考え、地道な原価低減に徹底的に取り組みはじめました。

https://www.toyota.co.jp/pages/contents/jpn/investors/financial_results/2018/year_end/speech.pdf